心の交通整理。

長男が車の免許を取得するために教習所へ通いだした。

あるのとないのとでは世界の広がり方が違うと思うので

しっかりと学んでドライブを楽しんでほしい。

一方、心配の種が増えるのはどうしたもんか…である。

過失なんかもあったりして

もしも、加害者にでもなったもんなら…とか、ええ。

で、まあ、彼はレアな体験をしているから

人一倍気を配ってくれるのでは…とも思っている。

そう、「ひき逃げ」である、高校生の時に。

自転車に乗ってるとこを当てられて、思いっきり逃げられたのだ。

警察から連絡があり、現場へ飛んで行くと

彼はピンピンしていたのでほっと胸をなでおろす。

大きな怪我もなく、自転車も無事なことから

「おまえも悪いねん!」と、彼の過失もあったのではと厳重注意。

数日後、犯人が捕まったと警察から連絡がある。

長男の確認が必要らしく、ふたりで警察へ向かった。

彼が確認している間、警察の方から

「お父さん、この後、会ってもらいますけど、暴力とかは…」

なんて、親が暴れだすパターンを想定して注意がある。

「いやいやいや…あいつも悪いねん、たぶん。

ま、ケガもなかったし、ええ勉強させてもろたって思てます」

感謝とまではいえないものの、前向きに考えていた。

しかし、いざ、ひき逃げ犯と顔を合わせると、自分でも驚くぐらい

血が上ってきて「えっ、阿吽像のどっち?左?」顔になってるのがわかる。

おぉ…こんな俺でもやっぱり親やねんな…と実感する。

深呼吸をひとつ。

いろいろと話をして、怪我もなかったし、何もないと思うけど、

一応ね、とりあえず、ひき逃げ犯の携帯番号を聞き、

「ひきにげはん」と私の携帯へ登録をする。

手続きを済ませ、車に乗り込み家路についた。

車中、車の危険性についてこんこんと説いてると

私の携帯からラインの通知音が鳴った。

「ほんで、あれや。車の運転中にスマホを見るとかも絶対アカン!」

ええタイミングで鳴ってくれるやないかい!である。

ま、反省する部分は確かにあるかもしれんわ…なんて

自分の非も認めて肩を落とす彼を見送り、車庫に車を停めた。

ふぅぅ…大きくため息をつき、安堵したのと同時に、

そういえば、さっきラインが鳴ったな…

ってポケットからスマホを取り出し、ラインを確認する。

「ひきにげはんと友達になりました」と。

いや、なんでやねん!である。

誰もいない車内に私の「なんでやねん!」がこだまする。

そう、自動運転とかAIとか便利すぎる世の中だ。

ラインのやつだって、こんなこと自動でできたら、いいでしょ!

って、むちゃくちゃ考えて開発した仕組みであろう。

もちろん、あれもこれもで痛ましい事故がめっきり減ったと聞く。

しかし、AIだけではわからないことだってあるのだ。

なんで、ワシがひき逃げ犯と友達にならなアカンねん…。

うーん…車の運転もビジネスも、いや、もう、なんでもや!

最終的には、やはり「人」である。

教習所で学ぶ前に、まずは人を想う心から。

長男よ、心の交通整理からやっとこか。

2023/06/13

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  1. ヤッホー!もとちゃん…こんなのでも良いですか? より

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