おちゃめ。

なんやかんやと本格的に蒸し暑くなってきましたから、

少しでも涼しくなれば・・・と、ここらでゾッとする話をひとつ。

それは、先日、あるアルバイトが辞める日に起こった出来事である。

閉店後、その彼と軽く談笑をしていた私。

「じゃあ、勉強頑張ってな」「はい、頑張ります」とかって話から始まって、

「えっ、なに?え~っと、なんちゅうんやったかな・・・

ボイスパーカッション?やったっけ・・・、うそっ!それ、できるん?」

「はい、ボイパっす、ボイパ。出来ますよ」

なんて趣味の話題に移り、話が大いに盛り上がる。

「閉店してるし、ちょっと、やってみてや!」「いいっすよ」

店内放送用のレジのマイクを口にあて、

ボボッ、プシュー、キュキュキュ、ドンドン・・・なんて、なかなかの腕前だ。

そこへたまたま出掛けていた社長が帰ってきて、えらく感心している。

「賑やかな音楽がかかってる思たら、なんや、それ、口でやってんかいな・・・。

へえ~、凄いやないか。たいしたもんやな!」

まあ、なんのこっちゃわかってないおじいちゃんを交えてする話やないので、

場所を休憩室に移し、彼と二人でもうしばらく話をしていた。

「どこでやってん?」「ミナミのクラブとかで・・・」「じゃあ、その道で頑張れ・・・ば・・・」

んっ?である。

ふたりっきりで話しているんだけど、

何かちょいちょい別の声が聞こえるようなそんな気がする。

「ちょっと待って・・。なんか聞こえへん?」「ほんまや・・・、な、なんでしょうね?」

声にもならない声というか、ボッ・・・ボッ・・・って、はっ・・・、まさか・・・である。

その音というは、休憩室の天井のスピーカーから聞こえている。

間違いであってくれ・・・、そう祈りながら薄暗い店内へ無我夢中で走っていった。

予感は的中した。

店内のレジのマイクを持ち出し、奥の方でひとり社長が練習しているのだ。

「アカンわ!うまいことでけへんもんやな・・・ははは」と一言。

ははは・・・やあるかい!である。

当たり前や!だ。

その歳にして、何事にも挑戦するその姿勢は見習うべきかもしれない。

しかしだ、なんやろう、まさか、どこぞのラウンジで披露するのでは・・・

なんてことを考えると、ゾッとしたそんな夜の話である。

2014/07/15

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