日本人ならでは感覚が市場を混乱に導く。
「みんな言うてるし…、私も…」感覚。
バナナがあらへん!である。
納豆ブームのときもしかり、欠品で迷惑するのは普段から食されてる方。
本日の「愛すべきおかあさん」も、そのうちのひとり。
夕方5時頃、ご来店され「にいちゃん、バナナ無いんか?」と。
日本中で騒がれていることなど、どこ吹く風、である。
「いや…、なんかね…、ダイエットにええ言うてえらい騒ぎですねん」
「ダイエット?きょうびのおなごは、必死のパッチやな!
うちは健康のために毎朝食べてんのに」と…、耳が痛い、である。
しかし、かなりの年齢と推測されるが、まだまだ元気でいらっしゃる。
先日も「今、病院で最大の敵と戦ってきたんやで!点滴と…。わはは」
と、いつ何時もユーモアを決して忘れないほど。
で、気になったのが、その元気の素がもしや「バナナ」だったら?である。
お詫びしながらお話してると、
「最近な?、なんや朝3時頃に目が覚めて難儀してんねん」と。
まさか、バナナが食べられないことで生活のリズムが崩れたのでは…。
「そら、難儀ですね。で、だいたい何時ごろ寝てますの?」
「そやな?、することないし、7時には寝てんな」と、あっさり。
7時?それちゃいますか?である。
とにかく、問題がバナナでは無いことが確実となり、ほっと胸をなでおろす。
「午前中でしたらなんぼかバナナありますし、取り置きしときましょか?」
「よっしゃ!明日、朝一番に行くわ!
おおきにやで!あんたの優しさ忘れへんで?」と帰られた。
そんな最後の言葉みたいな言い方せんでも…である。
このように普段から食べられてる方のこともあるので、
早い段階でバナナブームが去ることを祈るばかりだ。
何度も言っているが、食事ももちろんのことすべて「バランス」が大切。
陰と陽、水と空気、長男と次男…などなど、バランスがとれてなんぼである。
女性の美への追求は、もちろん大歓迎なのだが…。
ダイエットも「バランス」を考えて行なっていただきたい。
カイチョー改めヤジロベーでした。
2008-10-2
つい先日、同窓会が開かれた、千葉で…。
…遠いわ!である。
それも十数年ぶりに…。
「これ逃したら、次いつ会えるかわからへん!」で参加させていただいた。
まあ、しかし、十数年ぶりとあって友人達の七変化に驚かされる。
あのおさげだったあの娘が…、えっ…、おかあさん?
あのおとなしかったあいつが…、えっ…、家業を継いで社長はん?
あの「♪誰にも縛られたくないと?…」と尾崎さんばりに
自由を求め続けていたあいつが…、えっ…、鎖につながれた飼い犬?
「変わらんな?」と「変わったな?」を交互に繰り返し、
ときには「薄なったな?」で、あっという間の楽しい時間に酔いしれた。
やはり、いいもんである。
常にひっついてくる名刺の肩書きを捨てて、
ただただ単純に高校生に戻るのはええ!である。
また他の高校とは違い、同じ屋根の下で3年間みっちり過ごす
地獄の寮生活だった分、その感動もひとしお。
決してオーバーではなく、どこか久しぶりに兄弟と会ったような感じだ。
その兄弟たちと何軒も渡り歩くうちに、1人2人と姿が消えていく。
そりゃあ、そうや!である。
そこそこええおっさんである。
最後の店を出たときなんか、足やら腰やら、なんや痛い。
始発電車に乗り、どないすることもできず、大阪へそのまま強制送還。
千葉の滞在時間はおよそ12時間。
朝の10時ごろ、家の玄関を開けるなり、「はやっ!」と妻。
息子も「えっ、遠くに行ってたんとちゃうん?」と。
息子よ、そうや、千葉や!弾丸トラベルや!
おまえには金銭的な観点からも体力的な観点からも納得でけへんやろ!
それが、同窓会っちゅうもんや!
大きなったら、覚悟決めて参加せえよ。
2008-09-29
本日は、月に一度の”お米の日”と題して
店頭にて新米各種を大奉仕させていただいていた。
お米を愛してやまない河南食糧さんが表に立って販売される。
お昼休憩にと私が代わりに店番をさせていただいたのだが…、
愛すべき乱れ撃ちに「やっぱり、ええ町やな?」と笑顔がこぼれる。
まずは一発目、「若ぼん!なにしてんや??」とおかあさん。
なにしてんや??って…、ご覧のとおり店番である。
「えらいさんから買った米食べたら、口腫れてまうわ?、わはは…」
自転車に乗ったまま、わざわざそれだけをおっしゃられてどこかへ。
どないやねん!である。
2発目も自転車に乗ったまま、わざわざ「にいちゃん、ごめんやで?」と。
「どないしましたん?」
「いやな、あんたから米を買いたいねんけど、近所の才料さんとこで
いっつもようしてもらってるからな?。義理っちゅうもんがあるやろ?…」
「そら、そうです!才料さんとこで買わなあきまへん!」
「かんにんやで?」と、手を振りながら去っていかれる。
この世知辛い世の中、義理人情は大事にしていただきたい。
3発目は、愛すべきおとうさん。
ちょっと離れたところから車に罵声を浴びせながらやってくる。
「どないしましたん?」
よく見ると、見た目「単車」の電気で動く自転車に乗っておられる。
「今のやつな、”一方通行ですよ”って言いよんねん!
”単車とちゃうわい!よう見てからぬかせ!”って怒ったってん!」と。
そない怒らんでも…である。
「そらそうと、おまえ、なにしてんねん?」
でた!本日2回目の”なにしてんねん?”。
「なにしてんねんって、店番してますねん!どないです?お米?」
「いらん!」
ここまでキッパリ断られると気持ちがいい。
また、ここまでひとつも売れていないのがいい。
その後、4・5発「なにしてんや?」攻撃を受けつつ、
「嫁さん大事にしいや!」「はよ帰って寝えや!」など、関係ない話ばかり。
今現在、昭和なのか平成なのか、わからなくなるほどの下町っぷりだ。
しかし、その地域の愛すべきおかあさん方に支えられていると
心からそう感じれる素晴らしい1時間を過ごすことができた。
もっともっと地域の方々に貢献できるよう、
来月もしっかり店番させていただきます。
知ってて「なにしてんや?」と何度言われようとも…。
2008-09-25
次男の初めての誕生日がサラッと流れてはいけない!
なかなか忙しく2日遅れとなってしまい、申し訳ない限りだ。
そんな父親の気持ちを私の知らないところで知ったりしたら…。
めでたく1歳を迎えた次男だが、これからもスクスクと育ち、
学校なんかにも行きだしてパソコンの授業などもあるであろう。
(その頃には「ブログ」という言葉さえ無いかもしれないが…)
で、なんかの拍子に私のブログを読んだとしたら、
「父上って兄ちゃんのことばっか書いてんじゃん!」
と、私のことだけならまだしも関西弁まで嫌ってしまうかもしれない。
いや、いや、いや…決してそんなことはないぞ!
常に平等に接しているつもりだ!
そんなことがあった場合の為に、ここに記しておきたい。
さて、その1歳を迎えた彼だが、いまだ言葉らしき言葉を発していない。
妻に聞いたところ、長男のときはすでに2つ3つしゃべっていたと言う。
ただ、まったくあせる必要が無いことは、長男で立証済み。
その頃の長男と言えば…
代名詞が「無愛想」というぐらい笑顔の知らない赤ちゃん。
それが今では…
アナログとハイテクを融合したLEGO仕様で電話機能までついた
パソコンを自作し、キーボードらしきところをたたきながら
「はい!はい!わかりました!」と誰かと会話するだけでなく、
ドラエモンのビデオを見て大笑いしている。

※これが、そのパソコン
あれ?また長男の話に…。
次男よ、違うねん!
おまえに関して、なんや…もひとつ綴ることが無いねん!
でも、ルイージみたいな思いはさせへんから安心せえよ。
スーパーかわいいブラザーズやさかいな!
誕生日、おめでとう!
2008-09-20
来店するなり、私の所へ一目散にやってくる愛すべきおかあさん。
「にいちゃん!なんや、スープに入れるやつ無いか?」
慌てすぎてて、完全に説明不足。
「スープに入れるやつ?」と顔をしかめてる私に
”なんでわからんねん!”とあからさまにイライラされている。
そんな…むちゃくちゃな…!である。
「あれや!なんかスープにのっかてるお菓子みたいなあれや!」
「あっ、クルトンちゃいます?」
「クルトンか、ケルトンか、知らんけど、それや!」
探していたクルトンが手に入り、落ち着いたのであろう。
「孫が来てんねん。スープにはこれがいる言うから買いに来たんや。
えらいハイカラなもん食べよるやろ!」と、お孫さんの来訪にご満悦。
クルトンひとつでハイカラって…、である。
しかし、この孫への愛情はどこか違う方向へ向かっているような…。
そりゃあ、もう、孫に対する愛情というのは
遥か昔から変わらないものと思うが、
ただ昔と違って今はだいたいのものが手に入る時代…。
孫は孫で何でも叶うもんだから、どんどんと要求しよる。
まあ、子供だから仕方が無いといえば、仕方が無いのだが…。
ここはひとつ、「アホなこと言いな!」と怒ったりするのも愛情。
なんでもかんでも言うことを聞く必要はない。
と、声を大にして言いたいのはうちのおばあ!
ひ孫にあたる私の息子達が、完全に王子と化している。
止めようが何しようが「おいしい口してるやないか!」
と、びっくりするようなもんを口に放り込む。
おいしい口ってなんやねん!である。
明日、9月18日で下の息子が1歳を迎えるのだが、
「1歳になったんやし、遠慮なく何でも食べさせてええやろ!」
そんなことを考えてるに違いない。
今でさえ、何でも食べさせてるけど…。
おばあよ、頼むからややこしいもんは控えてください!
ただ、変わらぬ愛情はお願いします。
2008-09-17
幼稚園で友人から教えてもらったのであろう…。
まさかの「俺」。
笑かしよる。
「俺」っちゅう顔か!ボクちゃん!である。
何にもわかってないくせに、ええかっこしてくさりやがって…。
しかし、幼稚園でいろいろと覚えてくるので面白いのは面白い。
妻も「オカンも覚えてきてん!」と寂しげな顔で話す。
ん?である。
「俺」に関してはそないなっていくやろな?と思うが、、
「オカン」に関しては「母」である本人にも非があるように思えてならない。
というのも、うちのオカンはどない考えても「オカン」だからだ。
「かあさん」でもない、「おふくろ」でもない、
う?ん、やっぱり「オカン」なのだ。
飴ちゃんとかも忘れんと持ってるし、
しょうもないこともよう言うてるし、きっちりド関西で逃げ場なしである。
なので、体系や言葉遣いなどいろいろ気をつけることで
「オカン」は間違いなく回避できるものといえるであろう。
例えば、私が「梨、食べたいな?」と食後にポロッとこぼしたとしよう。
それに対して「うん。食べたらええやん!」は、完全にNG。
即刻、失格である。
「いや…、そうやけど…」的なことを平気で言うのは
そんなもん「オカン」のはじまり以外なにものでもない。
今が旬の梨(豊水)を冷しといて
サプライズで用意しているにも関わらず、
私の満腹度を気にして「梨あるけど、食べる?」と
そんな配慮も忘れない母であれば、「オカン」なんて呼べない。
私なんて完璧なまでに父親道をこなしているので
まもなく「父上!」と言ってくるのは明らか。
妻よ、気をつけろよ。
「オカン」って言い出したら、たぶん最後まで「オカン」やぞ。
「オカン」が嫌やや言うんやったら
黙って梨を冷しといて。
2008-09-06
以前よりお問い合わせがあったにも関わらず、
なかなか品揃えできずにいた商品がある。
それについて各問屋さんにいろいろ聞いてみたところ
「申し訳ございません。持ってないですわ?」の返事。
「う?ん…、どないしよ?」
なかなか一歩を踏み出すことが出来ない情けない私がいた。
しかし、1度だけならまだしも、別の愛すべきおかあさんより
2度3度と「ありますか?」とのお問い合わせ。
ここまで何度もピンポイントで問い合わせがあったのは初めてだ。
しかも、そのなかには「娘が重度のアトピーで…」と
それは、もう、子を想う母の愛情がつまったお問い合わせが…。
得意料理のポテトサラダを食べさせたい!そう願っていたのでは…。
野菜嫌いだから、どうかおいしく食べさせたい!そう願っていたのでは…。
そんな妄想が、どんどんと浮かんでくる。
子を想う同じ立場にいながら、なぜ?
かるがもクラブカイチョーなのに、なんでや?である。
「これは、おかあさんの切実な願いを不意にした分や!思いしれ!」
歯を食いしばって思いっきり両頬をたたき、ようやく目がさめた。
で、そのストーリー性たっぷりの商品がこれ。

東京からやってきた「ソイマヨ」。
卵を使っていないマヨネーズ風調味料。
ごくごくわずかなところでしか販売していない逸品だ。
デザインも、やはり東京だけあってかなんや粋!である。
なにわの匂いがまったくしない。
私も食べさせていただいたが、「おっ、旨いやん!」だ。
ただ、はっきり言って安価なものではない。
徹底的に手を抜かず、試行錯誤を繰り返し、
創りあげた商品というのは…必然的に…である。
が…、しかし…、しかしだ。
アレルギーを持つお子さんには、金銭うんぬんの話ではない。
おかあさんからしても「ただ子供の笑顔が見たいだけやねん!」なのだ。
遅くなり、大変申し訳ございません。
カイチョー失格でございます。
品揃えが完了しました。
是非ともご利用ください。
2008-09-09
熱い方との出会いは、なんちゅうてもええ。
このかわいらしい名刺からは想像できない情熱を見せる。
「トマトが熱い!」である。

商談が始まるやいなや、怒涛のようにしゃべりまくるトマト。
そして、世間が価格高騰でてんやわんやしているなか、
「どないしたらその値段になるねん?」の価格設定。
なんでも、タイの方ときっちり友好関係を築き、
ちゃんと”WIN-WIN-WIN”の考えを忘れていない。
で、その価格設定ゆえ、少数精鋭が全国津々浦々を飛びまくる。
フットワーク、軽いな?!なのだ。
「熱い=軽い」のこの公式は、まず間違いない。
熱いヤツでのんびりしてるヤツをいまだ見たことがない。
試食をさせていただいたのだが、
これがまた「おっ、旨いやん!」なのだ。
さすがに全種類を試すことができないので
「これは、どないなん?」と、いろいろな質問をするが、
「めっ…ちゃ旨いっす!」のなんやちょっと溜めた一言で返してくる。
「じゃあ、こいつは?」
「それも、めっ…ちゃ旨いっす!」と、また溜めよった。
「めっちゃ旨いっす!」を何回言うねん!である。
「いや…、でもね…、これで作ったパスタをね、どこぞの店で食べたら
え?…軽く700円はしますね!それを…、この価格で…」
もうええ!わかった!である。
よほどの自信が、その溜めを作り出すのだろう。
最後は「では、明後日に納品させていただきます!」と。
また、スピードトマトやな?!である。
「熱い=速い」のこの方程式も、たいがいあてはまる。
熱いヤツでゆっくりしてるヤツをこれまた見たことがない。
いや?、気持ちのいい熱さに刺激をいただきました。
早速、品揃えさせていただきます。
お楽しみに…。
2008-09-05
ついに…秋刀魚の刺身が…。前回の続き。
国道らしき道路まで出たものの、案の定、走っている車といえば
ジャガイモやらを大量に積んだ大型トラックが通り過ぎるだけ。
このありえない状況に妻は怒る元気もなく、トボトボと私の後ろを歩く。
「ヤバイ!旅行どころか夫婦そのものが終わってしまう!」だ。
数十分ほど私一人だけがしゃべりながら歩いたであろうそのとき!
一台の車の窓ガラスに光り輝く赤い「空車」の文字が遠くに見える。
無人島に漂流し、海ばかりを眺める毎日を過ごす中で
一隻の船が遠くに見えた時の高鳴る気持ちを始めて知った。
大きく手を振り、「お?い!助けてくれ?!」である。
やっとホテルへ帰れる安堵感からか、妻に少しだけ笑顔が戻る。
ただ、完全ではない。
「不完全のまま今日を終わらしてはならない!」
そう考えた私はホテル到着後、夜遅くにも関わらず
「ちょっと飲みにいこや!」と誘った。
あたりを見渡すと、これまたうまいことちょうど一軒だけ
遠くのほうでぼんやりと赤提灯が灯っているが見える。
奇跡が奇跡を呼びよった。
昭和の匂いを残すママ一人の小さい飲み屋さん。
「ごめ?ん、ママ!まだいけます??」と私。
「いいわよ?。もう、何にもないけど…。あっ、ホッケがあるわ」とママ。
さすが、北海道!ホッケを常備しているとは…。
「こんな大きなホッケは本土には無いでしょ?」と自慢げなママ。
「スーパーの息子をなめてもらったら困りまっせ!」を飲み込む私。
楽しくいろいろな話をするなかで、新婚旅行での喧嘩の話も…。
気の毒に思ったのか、ママが自分で食べようと隠していた秋刀魚を
「刺身で食べたことある?」と、手馴れた包丁さばきで出してくれた。
「へ?、刺身で食べれますの?」
「鮮度がいいものはね。で、地元では一味醤油で食べるのよ!」
初めて口にするも、期待以上の味に驚かされる。
妻も「うわっ、美味しいですね?」と、ようやく完全なる笑顔が…。
「また喧嘩したら、秋刀魚の刺身を思い出たらいいのよ。
美味しいものを食べてこれからも仲良くね。オホホ…」とママ。
このように我々夫婦の危機的状況を救ってくれたのが
「秋刀魚の刺身」と「ファットママ」なのである。
息子よ、秋はなんやかんやいうても秋刀魚や。
今、自分があるのは秋刀魚のおかげやぞ。
ありがたく感謝して喰えよ。
2008-09-02
秋刀魚の刺身が登場しないまま、前回の続き…。
私がごちゃごちゃ言うもんだから、
るるぶ旅行に嫌気のさしていた妻がついに怒りをぶちまけた。
「そないに怒らんでもええやろ!たかだか”うに”と”いくら”で!」
「俺が怒ってんのとちゃうわ!鮭の代わりに怒ってんのや!いくらいうたら鮭の子やぞ。鮭がどんな想いで腹に入れてたか!それをやな?、腹いっぱいやからって…。美味しく食べたるんが筋やろ!筋子だけに…」
「うるさいわ?!いくら”うに丼”が食べたいからって…」
「ややこしい言い方すな!」
烈火のごとくせめぎあうこと数十分。
気がつけば、今度はお互い黙秘を決め込んで、しずかなること林のごとし。
気まずい雰囲気のまま、店をあとにし、
新婚とは思えぬ微妙な距離間を保ちつつ、電車でホテルへ向かったのだが…。
運悪くまたもや事件が起きた。
「扉は手動でっせ」事件。
降りるべき駅に到着し、ドアの前に立つが、
まったくをもって開いてくれる気配がない。
「あれ?なんでや?ちょっとしたドッキリか?」
オロオロしてるうちに無情にも発車オーライ。
私の後ろで妻が阿修羅の顔になっているのが容易に想像できる。
怖すぎて振り向けない。
「るるぶには何にも書いてへんな?」などと独り言で私の無実を猛アピール。
そうこうしてるうちに次の停車駅に到着。
一人の男性が、ドアの前に立ち尽くす我々を払いのけるかのように割って入り、
いとも簡単に自分の力でドアを開けてのけた。
「えっ?自分で?そんなルール知らんっちゅうねん」と笑ってみせたが…である。
駅を出れば外灯は数えるだけしかなく、月明かりのみに照らされる2人。
駅員さえいないこの状況で残された選択は
「歩いてホテルへ」もしくは「走ってホテルへ」の2択。
北海道の一駅分は、距離にして軽く「堺?天下茶屋」の急行クラス。
後者はともかく、歩いていけるかな??とあれこれ考えてるところへ…
それは、もう、今まで聞いたことがない切れ味抜群の口調で…
「次、どうすんの?」と。
一気に形勢が逆転。
「いや…、あれや…、大きい道路まで行ってタクシーを拾うねん」
「流してる訳ないやろ!」の正論に不安を抱きながら歩き始める。
(つづく)
2008-08-30