戦う男。
なんかごちゃごちゃと仕事をしていたら
いつのまにか23時を回っていた。
家に帰ると、浴室からドライヤーの音が聞こえる。
てっきり奥さんだと思い、「ただいま」とドアを開ける。
すると、そこにはパンイチでドライヤーをかける息子がいた。
おまえかい!
っていうか、モデルか!
なんちゅう恰好で 髪の毛、乾かしてんねん!
いらん、いらん、男はドライヤーなんかせんでええ!
タオルでワサワサってやったら乾くわい、そんなもん。
「なんや、出かけんか?」
「なんでやねん!出かけへんわ…」
「ほんなら、ドライヤーせんでええやろ」
「するわ!」
えっ、すんの?したことないわ…
寝るだけやん!勝手に乾くやん!なんで?である。
髪の毛、少ないからのぉ…みたいな顔してるけどやな
あほんだら、多かった時でもしたことないわい!
なんや、急に敵とかが来たら、どないすんねん?
誰が家族を守んねん?
「あっ、ちょ、ちょっと待って。髪の毛、乾かしてんねん」
そんなん言うても、誰も待ってくれへんぞ。
敷居跨いでないけど、男には7人の敵がおんねんから
いつでも、サッと戦える準備をしとかなアカンのに…
鏡の前で裸になってブオーッやあるかい!である。
で、こんな話を他の者にすると
「いや、するやろ…」と。
かなり偏見かもしれないが、息子やから男やで…と伝える。
「いや、だから、男とか女とか関係ないねん!するって」と。
あれっ、うそ…?完璧に私がマイノリティーっぽい。
あっ、そうか、ちょっと長いねんな、髪の毛が、男でも。
私は、目にかかったこともないから…である。
戦わなアカン時に、髪の毛みたいなん、邪魔やん…である。
「いや、さっきから戦う戦うって、誰と戦うねん」
「もしもや、なんかの時は、男が前いかなアカン…やん?」
どういう状況…何時代やねん…という。
うーん、昔から…えーっと、高校ぐらいかな、剣道の試合会場でも
一生懸命 髪の毛を気にしてるヤツなんか見つけるとだ
「ちっ、イキんな!何しに来てん、死合いや!勝つ気、あんのか」
なんて“こいつにだけは負けん!”と、燃えたぎったのを思い出す。
いや、もうね、「男道」みたいなのは無くなってきたんだろう…
大昔なら、戦うだけやなしに狩りにも行かなアカンかって
そんな男の役割的なDNAが今でも絶対にどこか残ってるはずなのに
美肌に化粧・アクセサリー、トイレは座って、風呂上がりのドライヤー…
うーん、まあ、令和やし、何より平和なんだから喜ぶべきなんだろう。
しかし、やっぱり我慢できず、息子に「なんで、するん?」と聞く。
「髪の毛が痛むからやん。ハゲたく…な…あっ、なんか、ごめん」
は、はは…なるほどな…遺伝と戦ってるんやな…そうかそうか…
戦ってるんやったらええわ…こっちこそ、なんか、ごめんな。
2023/02/22
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