食事。
今までに忘れられない食べ物ってある?と聞かれ、
すぐに何か思い浮かぶものがあるだろうか。
だいたいの方は、うーん…なんやろう?ってなるはず。
食を扱う仕事をしている以上、本当に旨いものを…なんてね
一生懸命探し求め、商品化するものの
なーんや、そんなもんかい!である。
しかーし、「食べ物」単体を思い出すのはめっちゃ大変なんだけど、
情景とか空間とかそういうのが加わると、なぜかいっぱい思い出される。
例えば、子供の頃、鬼のように剣道の稽古をしてて…
そう、当時は練習中は水を飲んではいけないという地獄の稽古が終わり
「死ぬ~」なんて防具を片付けてる時に、おばちゃんがお皿に山盛りの
キンキンに冷えた梨を持って「食べや~」なんて現れる。
おばはんが女神に見えた瞬間である。
歩くこともままならないほどの練習後なのに
ケンブリッジ飛鳥ばりの脚力で梨めがけて突進する餓鬼たち。
群がるもんだから、一人ふたつが精一杯だ。
盗られてはいけないと一気に口に運ぶ。
もうね、そのジューシーたるや…今でも忘れられない。
つまり、食事というのは何を食べるかよりも
誰と食べるか、どこで食べるか、どんな気分で食べるか…
そういったシチュエーションが大切になるわけだ。
私は、一番うまい酒は?といえば、結婚式で飲む酒
もしくは、大好きな人につがれた酒と思っている。
空間や時間が、銘柄とかそんなもんを超越する。
ま、もちろんね、食べ物が旨いというのが大前提なんだけど…はい。
食事についてそんなことを考えてる時に
愛すべきおかあさんがヨタヨタ歩いて近寄ってくる。
「おはようさん。どこ行くん?」
「カフェや。あんたとこのお父さんへプレゼント持っていくねん」
「えっ、なんで…どないしたん?」
「敬老の日やろ。紅白饅頭をやろう思てな」
いやいや…、80オーバーのおかあさんが73のおじいに…。
どういう心境やねん…。
バレンタインデーかなんかとごちゃ混ぜになっとんな…。
まあ、しかし、うちの親父にしたら忘れられん食べ物になるやろな。
おかあさん、紅白饅頭おおきに!
食事は楽しく食べましょう。
2019/09/18
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