8鬼。

私のおばあってのが90オーバーで、まあ、ちょっとでも元気になればと

ひ孫にあたる息子達をおばあん家に放り込んだりするんだけど、

三男坊なんか見てて危なっかしくて仕方ないのだろう

目を離した隙にどっかへ行かさない為に、こう釘をさす。

「コラッ、そっち行ったらアカン!ワンワン来るで!」と…。

えっ、あれっ、ワンワン…、犬?である。

おばあちゃん、ちょっとええかな…、ごめん、怖くないんだけど、そのワンワン。

抑止になんないからもっと怖えヤツ呼んできてくれへんかな、オバケとかさ。

ワンワンなら、むしろウェルカムな感じになってまうし…なのね。

丸くなったのかな…、俺んときは、小隊長とか、あっ、軍隊のね、厳しめの、

もっとこう、おっかないのを連れてきてたような気がするんやけど…だ。

で、なんつうの、息子達にとって怖い対象に鬼とかは古いのかな…なんて思ってた。

しかしだ、次男にはまあまあイメージできているようで、ちょっとホッとする。

いやね、テレビゲームに夢中になっている次男に

「ええかげんにしぃや。時計見てみ…」と静かに怒る妻。

「さ~てと…」なんて、寝転んでたのに無意味に起き上がる私。

その時だ、ボソッとね、「鬼やな…」とつぶやく次男。

もうね、「おっ…、ええやん」ってね、表現方法を褒めたいぐらい

…なんだけど、息苦しいほど空気が張り詰めてて、声に出せるわけがない。

う~ん、三人ともよく聞け。

世のおかあさん方は、子供が立派な大人になるためやったら

嫌やで、嫌やねんけどあえて鬼にもなれ…る…、

あっ、いや、ち、ちがっ、顔やない、心や、心。

おばあみたいに「ワンワン」みたいなな、

なんやかわいらしいのん連れてけえへんねん。

「こらっ、言うこと聞かへんかったら”眼だらけ”呼ぶで!」やで。

三男坊が「いやや!いやや!」って死ぬほど怖がってたやろ。

なんかの絵本に登場してたあの体中が眼ばっかりの変な妖怪。

そら、そうや!俺だって怖いもん…。

なっ、やっぱ鬼やろ…。

だから、お願いや!ちゃんと言うこと聞いてくれよ。

仕事終わって帰ったら、おまえらには1鬼ぐらいのもんやけど、

疲れきってて8鬼ぐらいなってたりするからな…、どんだけ怖いか…。

2015/03/05

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  1. ヤッホー!もとちゃん…こんなのでも良いですか? より

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