気ぃつけて!
ピカピカの一年生・三男坊に学校で何を習ってきたのかを聞くと
ひらがなの「こ」と「に」を習ってきたと笑顔で答える。
「おー、見た目ややこしいな…。じゃあ、コマとかコアラとか
”こ”のつくもの何か言ってください」って質問を投げかけると
「え~っと…、こねずみ!」
あ~、あれね、あのチッサーマウスね!ってなるか。
それ言い出したらキリないやつはアカンぞ、小鳥までや!である。
う~ん、恥ずかしがらんとよう言えるなぁ?みたいな話なんだけど、
いやね、愛すべきおかあさんも負けてないのだ。
ちょっと足の悪い愛すべきおかあさんから配達を頼まれる。
「にいちゃん、あれやで、12階の402号室やで。間違えなや」と。
「んっ?12階の?4階じゃないんや、ややこしいな…」
「なんでや!4階やん。あそこの12階建てのマンションってことや」
なんでや!やあれへん。いらん、いらん、12階の…っていらん!なのだ。
で、配達へ行くと居ない…。再配達しても、また居ない…。
もうね、怒るとか通り越して心配になるのね、どっかでコケてんちゃうか?って。
電話してから…と、何度かベルを鳴らしても出ない。
夜の7時を回る。
アカン…、いよいよ、ヤバい…どこでコケてんのや…。
発見が早い段階だったので助かった的な話もあるし、
8時になって電話でえへんかったら警察へ電話するわ…なんてスタッフ達と話す。
運命の8時、恐る恐るベルを鳴らすと、
「あ~、にいちゃん。持ってきてくれるか」と心配をよそに元気な声。
配達へ向かい、玄関先で「よかったぁ!どっかでコケてんちゃうかって思ったわ」
「えっ、なんで知ってん?たまたま近くにお巡りさんがおって送ってくれてん…」と。
ほんまにコケとったんかい!である。
「え~、気ぃつけなアカンで!レディーに聞くのアレやけど、だいたい何歳よ?」
「何歳やと思う?」
いや、レディーか!だ。
「え~、じゃあ、まあ…、87歳!」
「なんでやねん!86歳や」
なんでやねん!やあれへん。かすっとるがな…である。
「わはは…、まあ、良かったわ。ほな、帰るで。ドアの鍵閉めてや」
「あ~、おおきに!外、暗いし、気ぃつけて帰りやぁ」と。
あ、あ、あんたがやぁぁぁ…である。