残暑お見舞い申し上げます。
2.3日あたり前からバックヤード、つまり倉庫で
「フィンフィンフィヒヒヒ…」ってな音が定期的に聞こえていた。
私はもちろん、みんなの耳にもたぶん聞こえていたのだが、
誰もそれについて言及することなく、仕事に勤しんでいた。
だが、やはり3日目ともなると、黙っていられない人間も出てきて
「なんか虫が鳴いてるんとちゃいます?」と、お惣菜主任。
「いや、なんで虫がおんねや。ファンが夏頑張りすぎてちょっと調子悪いんやろ…」
と、冷凍庫のファンがあるあたりを指差す。
「あ~、ファンか…」
この言葉を聞くのは、今日だけでもう3回目となる。
その前に肉屋さん、レジのパートさんへまったく同じことを言っているからだ。
そこへ今度は、魚屋さんがやってくる。
「ねえ、なんか鈴虫かなんか鳴いてるんとちゃいます?」と…。
もうええ!何回すんねん、このやりとり!飽いたわ!である。
「おいっ!そこに紙貼っといてくれ!”ファンの音です”って…」
「えっ?いや、下の方から聞こえますって…」
「もう、ええっちゅうねん!ファンや、ファンの音や!」
「いや、これは、絶対ちゃう!」
そう言って、そこらの在庫として保管してる商品をどかし始める魚屋さん。
「だから、おらんって…。虫は草とか生えてるとこにお…るん…ギャー!」である。
おった…。
ほんまにコオロギがおった…。
ちょっとのぞき込んだ私のところへピョ~ンって…。
腰抜けるわ…である。
「ほら~!」と、びっくりするぐらいのドヤ顔をさらして
コオロギを追いかけまわす魚屋さん。
「逃がしたれ!もう帰ってこれへんぐらい遠くへ逃がしたれ!」である。
いやいや…、すっかり秋ですね。
コオロギなんて何年ぶりやろ、見たのん…。
形から色からあいかわらずの気持ち悪さに
こいつは見るもんやなくて聞くもんやな…
と再確認したまだ残暑きびしい夜の話である。
2011/09/06
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