楽しい食事。

「にいちゃん、小アジないか、小あじ?コアジや、コ・ア・ジ!」

愛すべきおかあさんが、凄い勢いでまくしたててくる。

それは、ちょっとでも気をぬけば、どつきまわされる勢いだ。

ちょっと、ちょっと、慌てすぎ。落ち着いて!コアジ何回いうねん!だ。

聞くと、結構な量が必要とのこと。

「どないしますの?そんなぎょうさん・・・」

「いやな、孫がアメリカ留学から帰ってきてやな、

”何食べたい?”いうたら、”小アジの南蛮漬”って言うねんで、あの子」

もう、ほんまに邪魔くさいこと言うで・・・なんて、ツンデレを決め込んでいる。

いやね、お孫さんとお会いしたことはないが、「孫よ、やるな!」なのね。

なんていうの、こっからは私の勝手な妄想なんだけど・・・、

う~ん・・・、そやな、何が食べたいかな・・・、考えたらキリないな~・・・

しかし、ちょっと見ないうちにおばあちゃん、なんや老けたんちゃうんか・・・

そや、昔からなんやいうたら”小アジの南蛮漬”が得意やいうてたし、

季節外れっていうたらそやねんけど、喜んでくれるやろな・・・

ってなことが頭をよぎり、「小アジの南蛮漬」に行き着いたとしか考えられない。

頭落としの調理を待っている時のおかあさんの嬉しそうな顔といったら・・・だ。

うちの息子達も、そんな思いやりのある子に育ってほしいな・・・なんてふと思う。

そんなホワ~ッとした感じの後、今度は、なんか複雑な気持ちに・・。

いやね、仕事の都合で東京に引っ越しされた息子さんが

いらっしゃるおかあさんが、「今日、あの子、帰ってくんねん」と、お話される。

「お~!ええやん。今日は御馳走やな」

「まあ、ご馳走せんでも、好きなん食べさしたららな」

「せやな。腕をふるった”おふくろの味”を食べてもらわなな」

ってなことを話してると、

「あの子、コレ好きやねん」

とかいって、お惣菜のサバの煮付けを買い物カゴへ。

あれれ・・・、ま、まあ、ええよ。ありがとうございます!なんだけどね

っつうか、うちの煮付けが、そんな大役を果たせるのかが心配なぐらい。

もうね、息子さんの「やっぱ、旨いな~。なぁ、オカン」

なんていうコメントがあることを、久しぶりに神に祈ったわ、である。

まあ、でも、どんな形であれ、

子や孫を想う母親の気持ちはいつまでたってもエグいな・・・と痛感する。

と同時に、久しぶりの笑顔溢れる楽しい食事になれば・・・と切に思う。

2014/03/04

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  1. ヤッホー!もとちゃん…こんなのでも良いですか? より

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