ピッピッピッ。
ピッ ピッ ピッ・・・
会社の事務所で仕事をしていると、どこからか
健康診断でする聴覚検査ぐらいの音量で聞こえてきた。
事務所にはパソコンやら発注機やらプリンターやら
電子機器があちらこちらに置いてある。
どれが鳴ってるんや…って耳を澄ましているところへ
スタッフが「何してるんですか?」と聞いてくる。
「いや、なんか聞こえへんか?どれやろ、調子悪いんか
ピッピッって鳴って…るの…あれっ?鳴ってへんか…」
さっきまで鳴っていた電子音がいつのまにか止んでいる。
空耳やったんかな?
そう思いながら、別の店舗へ車で移動する。
信号待ちをしていると
ピッ ピッ ピッ・・・
まただ。
なんや、事務所の電子機器やなくて、俺のスマホかいな…
ポケットからスマホを取り出して確認するが、何もない。
えっ、ちょっと、怖っ、なに?なに?幻聴?である。
少し動揺しながらスマホに「ピッ 幻聴」と入力し、検索。
「頭内爆発音症候群」と聞きなれない言葉がヒットする。
えっ、ヤバない、なんちゅう名前や…ほ、ほんまかいな?。
なんかね、あまりに怖すぎて、店舗のスタッフに言うて回る。
「仕事、し過ぎっすよ。寝てます?」
「疲れてるんちゃいます?」
そんな言葉が返ってくるんだけど、いや、あのな…と。
私は、これといった病気をほぼほぼしたことがない。
昔々、就活の自己PRは「とにかく、タフっす」の一本槍で
いくつも内定を獲得するぐらい頑丈さには自信がある。
痛覚だってあまりにも鈍く、もうね、魚とほぼ同じ。
そんな私が、疲れとか寝不足とかそんなもんで
ピッピッと爆発音?の幻聴が聞こえるとは思えない。
ただ、スタッフ達にヤイヤイ言われるせいか、
段々、疲れてきたというか、そう思えてきた…。
アカン、はよ寝よ…って家に帰り、妻にもそんな話をする。
「へえぇ、どんな音なん?ほんまにピッなん?」
どうやら私の心配よりもどんな音なのか興味があるようだ
なんて話をしてるまさにその時
ピッ ピッ ピッ・・・
「またや!」
「私も聞こえた!」
おえっ、なんで?おまえも聞こえるん?頭内のはず…えぇ?
ポケットの中にあるものをすべてテーブルに出す。
んっ?店舗の鍵がたくさん連なったやつにアクセサリー的なものが…。
定位置管理のできない私が、妻に「なぁ、俺の鍵、知らん?」って
よく聞くもんだから、数年前、彼女が買ってくれたGPSである。
すっかり忘れてたんだけど、そいつの警告音?とにかく、それだった。
あぁぁ、よかったあぁぁ、いや、焦るやん…頭内爆発音症候群とか。
安堵の胸をなでおろすとともに、さっきまでの疲れが忘却の彼方へ。
うーん、令和の時代、病は気からやなく、病は機器からである。
2025/04/22
この記事にコメントする
Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project. ログイン