デート。

妻とふたりで電車に乗った。

「気になる飲食店があんねん」

そんな話を妻にすると、私も行きたい!ってなり、

一応、子供たちを誘ってみたら

面倒くさがって誰もついてきたがらず、

じゃあって、冒頭の状況に至ったわけだ。

それがどうしてん?なことなんだけど、何年ぶりや

久しぶり過ぎて、どんな顔して乗ったらええんやろ…

どの顔にするかまだ決まってもないのに駅に着いてしまう。

先に妻がスマホをかざして改札を抜けていく。

「って、おいっ、令和か!」なんて過剰に反応すると

なんか、えらい丁寧にスマホの使い方を説明しだした。

あれっ…

てっきり返す刀で「あんたが知らんだけや!」を予想してて

鍔迫り合いするつもりやったのに、拍子抜けにもほどがある。

んっ?なんか、いつもと違うな、日常ではない空間というか…

あっ、ちょっと、これ、あれやん、デートやん!である。

え、えーっと、距離感はどれぐらいやろ…

くっつき過ぎたら気持ち悪いやろうし、

離れ過ぎたらいっしょに乗る意味がないし、

50歳夫婦の距離感ってこれぐらいかな…なんてね

付かず離れずを慎重にキープしながらホームを歩く。

普通の電車が普通に到着し、普通にドアが開くんだけど

「ようこそ、非日常の世界へ」って

どこかアトラクションにも思えてきた。

さて、どうしたもんか…

座ろうが立とうがお好きにどうぞ!

という「自由」ってやつが、さらに私を追い詰めていく。

優先座席へエスコートするボケのひとつでも…

いらんいらん、だいたい座ろうとすな!の選択をする。

じゃあ、ドアの前で向かい合って話をすればよいのか?

いやいや、なんでやねん!カップルや欧米人やあるまいし…

向き合わずに並んでつり皮を持ち、窓に写る景色に目を向け

「I LOVE YOU」を夏目漱石が翻訳した逸話を引っ張り出し

「月がきれいですね」は漱石らしいというか、日本人というか

なんか腑に落ちるなぁ的な話をして月でも眺めていたのかというと

そんなわけなくて、ま、他愛もない話をしていたのだろう。

覚えていない、緊張してて…。

難波へ到着。

やっと電車から解放されるも、いつも目にするネオンが違う顔を見せる。

そうか、妻とふたりやからや…まだデートは継続中らしい。

そして、おいしく食事をいただき、店を出て歩きはじめた瞬間

「せや、あの子らにお土産買ったげな…」

そう言ってデパ地下へ向かうところでデートが終わった。

そう、一瞬にして、母に切り替わったのだ。

うーん、妻やら嫁やら母やらビジネスパートナーやら

しかし、何役もこなして大変やな…と感じ、感謝の念が沸々と。

妻よ、また、デートへお誘いさせていただきます。

いつも、ありがとう。

2025/02/04

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  1. ヤッホー!もとちゃん…こんなのでも良いですか? より

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