セコい。

学生の時によく食べていたせいか、

吉野家の牛丼が無性に食べたくなる、たまーに。

で、先日、久しぶりにひとりで食べに行った。

生卵に一味と醤油をちょっと垂らし、テーブルにつく。

ちょうどそのタイミングで、

目の前に座るサラリーマン風の片っぽが

上司であろう人に向かって、姿勢をただし、大きな声で

「あざっす!!ご馳走さまでしたっ!!」と頭を下げる。

なんや、ビックリするやないかい!だ。

いや、ええよ、ええんやで、大事なことや!

せやけど、おまえ、ちょっとやり過ぎや、そないに…

ここでそれやってたら、後、どないすんねん…

新地の驕りとか地べた這いつくばらなアカンようになるで…

なんて、半ニヤケになるのをグッと堪える。

じゃあ、その返礼に対して、今度は上司であろう人が、

ま、決してそうじゃないかもしれない…

ただ、私がね、私がそう感じただけなんだけど…、

それはもう、だいぶイキッた顔して

「うぃっ!」と。

いや、うぃっ!やあるかい。

その顔は、牛丼8か9杯いかんとできん顔や…である。

うーん、しかし、なんとも微笑ましい。

そういえば、私も随分と奢ってもらった。

忘れられないのが、堺駅南口店を出店して数年後

東京へ出張に行った時に食事をご馳走になったこと。

「どうっすか、飯でも?美味しい串カツがあるんですよ」

いや、ワシ、どっから来たか知ってんのか?大阪や…

なんてね、ちょっとだけ思ったけど、連れてってもらう。

「六本木なんですけどね…」「えっ、ろ、ろ、六本木?」である。

TVとかで何度も聞いてきた芸能人とかいるあの噂の六本木?

出店当初、大変過ぎて「いつまでこんなことせなアカンねや…」

そんなことを思いながら辛い辛い毎日を過ごしてきて

そんな俺が、えっ?あの有名な噂の六本木で飯?

おいおいおいっ、偉なったなぁって感動したのを覚えている。

私の知っている二度漬け禁止のソースやなくて

トリュフの塩やったり、なんか知らんええポン酢やったりで

あー、やっぱり六本木やわ、天王寺と比べて

食べ物も人も品があって全然ちゃうやん…って旨かった。

こんな感じで、たくさん奢ってもらってきた私だが、

今や50歳になって、段々と奢る立場になってきている。

輪廻だ、輪廻、受けたものは次の者へちゃんと送らな!

せやけど、私、根っこはめちゃくちゃセコい。

ピノとか6個のうち1個すら誰にもあげたくない、ほんまは。

で、自分で「セコい」いうのはええねんけど、

「セコっ」言われるのは嫌やから歯を食いしばってね、

「い、い、1個いる?」と言うようにはしている…。

アカン、アカン、そんなんじゃアカンぞ!

もっと「ういっ!」って顔を鏡みて練習せな…。

空っぽになった牛丼のお椀を見つめ、自分を見つめ直す。

吉野家さん、あざっす!ご馳走さまでした。

2024/10/07

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  1. ヤッホー!もとちゃん…こんなのでも良いですか? より

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