スーツ。
「おかあさん、おはようさん」
「んっ、あんた、誰や?声がよう似てるけど、次男さんか?」
「おらへん、おらへん。次男、おらんから。俺や、俺。ここの息子」
「えっ、あんたかいな。そんな恰好してたらわからんわ。いつもの兄ちゃんやな」
「いつもか知らんけど、たぶん、いつもの兄ちゃんや」
「本物か…」
ほ、本物ってなんやねん!である。
いやね、本日、50周年記念セールとして本店の店頭に立たせていただいた。
50年の感謝の気持ちをお伝えするのにちゃんとせな!って
スーツ着て正装してたんだけど、まあ、ご挨拶がこんな感じで返ってくる。
「結婚式か?」「見合いか?」「デートか?」「七五三か?」「会社の人か?」…
もうね、いちいち「なんでやねん!」っていうのが疲れるぐらい…。
で、こんなもんで終わらないのが50年の歴史。
「誰や?」のあとは、そう…「どないしたん?」。
なんや、スーツ着たらあかんのか!である。ご・あ・い・さ・つ!
ただただお礼を申し上げたいだけである。
それなのに、「借りてきたんか?」「持ってたんか?」と、スーツをいじり倒す。
しまいめには、結局、「飴、食べるか?」なんて
スーツ関係あらへんがな…なのだ。
お昼時に差し掛かり、もうぼちぼち…って時に
ひとりの愛すべきおかあさんが慌てて来店される。
「おー、にいちゃん、久しぶり。いやな、〇〇さんが家へ来てな、
”スーツ着て店の前で立ってるで、見ておいでや!”
って、わざわざ言いにきてくれたからやな…」と。
見ておいでって…、パンダか!である。
「あのな、うちな、今年運がめっちゃええねん!触っとき、触っとき」
「いや、触っときって…、まあ、触るけど…。何かありましたん?」
「くじ引きで当たってん、2千円。ご利益あるで~」
もうね、どないやねん!である。
愛すべきおかあさん方の世界観に圧倒させられっぱなしのご挨拶だった。
しかし、何が良かったかというと、笑顔がよかった、笑顔が。これに限る。
あれだけおかあさん方が笑てくれたら、
なんぼでもスーツ着たるわ!なのだ。
ただただ食材を売り買いする場所だけではありたくない。
笑顔でお話ししたり、笑顔でお買物していただきたいと心から思う。
50年という長い歴史に感謝申し上げると同時に
これからも笑顔でご来店いただけますよう頑張らせていただきます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
2016/10/24
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