ちょっと聞いて。

愛すべきおかあさんのなかには、1日に2回も3回も来店される方がいらっしゃる。

「あれっ、本日、2回目ちゃいます?1日に何べんもおおきにです!」

「そやねん。あんた、ちょっと聞いてや~」

でた!ちょっと聞いてや話か~…、う~ん、どないしよかな、聞かんとこかな…

どうせ、どないやねん話か知らんがな話のどっちかやしな…

…なんてね、まあ、そんな愛すべき選択肢、あるわけがない!

「どないしましたん?」

「あのな、うちのおっさんや!うちがお昼ごはんをちゃんと用意してんのにやな。

おいっ、日之出屋の寿司食いたいから買うてきてや…ってこれや!どない思う?」

「用意したお昼ごはんが気に入らんかったんや?」

「知らんよ…。昔からこんなんやねん、あのひとは。

飲んできたから、晩飯いらん!とか…。

そやったら用意する前に言うてや!って、今まで何回いうてきたことか…」

その後、お父さんがごはんをちょくちょく食べない話がまあまあ続いた。

で、テレビ見ながら食べるから食べ終わるのが遅い話に発展し、

んっ?ちょっと出口が見えなくなってきたその時だ

「でもな、今までずっと頑張ってくれたからな、仕事…」と。

あれっ、全然違う方向に話が…である。

「あんたにいろいろ言うたけど、ほんまはな、あの人に感謝してんねんで」と。

いや、まあ、その、なんちゅうか、う、うん…である。

もうね、入口と出口がここまで違うと、コメントできない。

「あ、せ、せやな。ええやん…」が、精一杯。

ほんまはね、言わないけど、言えるとしたら、「どないやねん!」だけなのね。

「あっ、そや、あんた、聞いたで!剣道を教えてんねやてな」

え~~~!さっきの話は?終わり?である。

「まあ、教えてるいうたかて、月に数回かだけやけど、いける時にね…」

「数回いうたかて、忙しいのに偉いやんか」

「いや、別に、なんも偉ない、偉ない」

「へぇぇ、剣道な~。うちの人な、やってたわけちゃうけど、

今、バレーボールがTVでやってるやろ。一生懸命、応援してるわ」

えっと…

バレー…の…応援…。

いや、し、知らんがな!

である。

あまりの知らんがな!にフォントを変えてしまうほど。

欲をいえば、やってへんのかい!も言いたいぐらいだ。

おかあさん、元気でましたわ。

ほんと、愛すべきである。

2016/05/30

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